限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
 とにかく、イエルク様とギャレット様は彼女のことを警戒しているというし、何かをする権力を持たない私は二人にお任せするしかないのだけど。

 私は王太子の婚約者として、また住んでいた宮へと逆戻り。私は実は被害者で脅されていただけなんだと公表し、お世話になっていた侍女たちも同情してくれた。

 今の私はぽかぽかと日差しの当たる庭園のベンチへ腰掛けて、手習程度の腕前だけど、幼い頃から趣味だった絵を描いていた。

 お母様が亡くなりお父様が酒浸りになってしまってから、既に成人していた私はそれどころではなくなってしまった。

 借金をどうするべきかと頭を悩ませ、楽しむこと何もかも手放してしまっていた。

 けれど、こうして趣味に没頭するとすべて忘れられる。

 美談を上から被せたからと、一度王太子を裏切った私を国民から良く思われないのは当然だ。誰かから嫌われていると思うと、切ない。

 けれど、これはもう仕方ないことだ。

 再び信用を得るまでに、長い時間が掛かることだろう。

 状況の何もかもがすぐに良くなることはないのだから、今は不要なことは忘れて生きていくしかない。

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