限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。
「こんな君を放って行ける訳がないだろう。俺が、あの商人と話していることを詰ったからか? すまない……俺の婚約者なのにと思ったら、どうしても我慢が出来なくて……」

「……え?」

 あ。ギャレット様は誤解しているんだ……違うんですっ……弟からの手紙が、手紙に……。

 泣いていて興奮していたり、思わぬ彼の登場や誤解、それに抱きしめられているこの状況に驚き過ぎて良くわからなかったりで、私は何も言えずはくはくと口を動かすだけになってしまったんだけど、ギャレット様からは強い悲しみに感情が昂ぶっているように見えたかもしれない。

「ごめん」

 唇に熱くて柔らかいものが押し当てられたと感じ、やけに冷静な頭の中の私は「これはもしペルセフォネ嬢に知られれば、ただでは済まされない」と思っていたりした。

 何度か角度を変えて唇は重ねられ、時間の感覚がわからなくなった。彼とキスをしていたのは五秒だったかもしれないし、五分だったかもしれない。

 けれど、離れた瞬間もキスをしている自分を信じられない私は、ずっと目を開けたままで居た。

「……ごめん」

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