聖女の力のない令嬢の織った布に、冷徹公爵は恋をした。
広間の窓から風が入ってきて、リディアの髪を揺らした。アルシェはリディアを見たまま、少し視線を落とした。何かを考えているときの顔だった。
「初めて布を見たとき」
彼はゆっくりと言い始めた。
「力のない者が、それでも諦めずに作り上げたものだとわかった」
「はい」
「私も同じだと思った」
リディアは目を瞬いた。
「同じ、とは」
アルシェは窓の外に視線を向けた。午後の光が庭園の緑を照らしていた。
「豊穣の聖女の力は土地を豊かにする。だが実は、私にはその力が弱い」