可愛い後輩の天使くんはあざと狼でした
「えっと、大丈夫だよ?
私いま見たこと誰にも言わないし!
す、好きな人いることも内緒にするし!
だから気にしないで!あの、これからも可愛い後輩として見るから安心して!」

必死にフォローして、ぐっと親指を立てて立ち上がろうとした——その瞬間。
ぎゅっ。手首を掴まれた。

「……まじで、ちょっと待って」

低くて、落ち着いていて、いつもの彼とはまるで違う声。

「とりあえず場所移動。
悪いけど俺抜ける」

「おー」

「がんばれー」

友人たちが軽く手を振る。
そのまま、あまつかくんに手を引かれ、私は慌ててお会計を済ませて外へ出た。
ぐい、ぐい、と歩くスピードが速い。
え、ちょ、どこ行くの……!?
連れてこられたのは、落ち着いた照明のバーだった。迷いなく扉を開けて入っていく。

「いらっしゃい」

「マスター、二人」

「はーい。そこの角の席どうぞ」

慣れた様子で席につくあまつかくん。

「座って」

「え?」

「頭ぶつけて記憶飛ばすか、酒飲んで記憶飛ばすか……どっちがいい?」

ジロリと、真正面から見据えてくる。

「どっちも記憶飛ばす前提なの…?」

そう思いながら、私はそっと腰を下ろした。
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