君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~
恋
友達の境界線
夏休み中、同じ部活の美波と勇斗とは頻繁に顔を合わせていたけれど、帰宅部の新太とは、学校で会う機会がすっかりなくなってしまった。
その代わり、新太とはLINEでよくやり取りをしていた。
『柚那ー、今度の日曜予定ある? 空いてたら遊び行こーぜ』
画面に浮かんだ文字を見て、私はいつもの4人で行くつもりで、すぐに返信を打つ。
『とくに予定ないよー! 美波や勇斗にも声かけてみるね!』
けれど、すぐに返ってきた新太からのメッセージは、私の予想を完全に裏切るものだった。
『いや、今回は俺と柚那、2人で行きたい』
画面を見つめたまま、文字を打とうとしていた指先がピタッと止まる。
(え……2人で?)
ドクン、と不意に心臓が大きな音を立てた。
これまでは、新太のことを本当にただの仲の良い男友達としか思っていなかった。
あの王様ゲームのあとの帰り道に言われた言葉だって、「新太みたいな人が、私なんかを本気で相手にするはずがない」と思って、深く考えないようにしていたのに。
『……わかった! 予定あけとくね!』
なんとかいつも通りのトーンで返信したものの、新太と“2人きり”で出かけることが決まった途端、急に今度の日曜日が来るのが怖いくらい緊張してきた。
変に新太を男の子として意識してしまっている自分がいることに、戸惑いが隠せなかった。
ーーーーーーーーーーー
そして、新太と出かける当日がやってきた。
今日は2人で、隣町の映画館へ行くことになっている。
お昼過ぎ。
待ち合わせをした駅の改札に向かうと、そこにはすでに新太の姿があった。
「ごめん、待った?」
私が駆け寄ると、新太は「いや、全然」と少し照れくさそうに笑った。
水族館に行ったときにも私服姿は見ていたはずなのに。
こうして『2人きり』で待ち合わせをしていると、なんだかいつもより大人っぽく見えて、また心臓が小さく跳ねる。
一緒に電車に乗り込み、並んで座って話しているうちに、ガチガチだった私の緊張も少しずつ解けていった。
映画館に着いてからは、本当にあっという間だった。
暗闇の中、ポップコーンを分け合って、同じシーンで笑って。
気がつけば、いつものように心から楽しんでいる私がいた。
映画が終わって外に出たときには、空はもう綺麗な夕焼け色に染まっていた。
「……なぁ、帰る前にちょっとさ、そこの公園寄らない?」
駅へ向かって歩いている途中、新太が少し髪をかき上げながら言った。
まだ帰りたくないという彼の気持ちがストレートに伝わってきて、落ち着いていたはずの私の心臓が、またドクンと鳴る。
「……うん。いいよ」
私たちは歩くスピードを落とし、近くにある静かな公園へと向かった。
オレンジ色の夕日に包まれた公園で、2人で並んでベンチに座る。
だけど、座った途端に、急に何を話せばいいのか分からなくなってしまった。
さっきまであんなに楽しく話していたのに。
お互いに何も話さず、ただ静かな沈黙だけが2人の間に流れていく。
遠くから聞こえる蝉の声と、自分のドクドクという心臓の音だけが、耳の奥にうるさいくらいに響いていた。
緊張で、隣にいる新太の顔を見ることすらできない。
私は膝の上で、きゅっと自分の両手を握りしめた。
どれくらい、そうしていただろう。
沈黙の重みに耐えきれなくなる寸前、隣ですうっと深く息を吸う音が聞こえた。
沈黙を破り、静かに喋り始めたのは――新太だった。
その代わり、新太とはLINEでよくやり取りをしていた。
『柚那ー、今度の日曜予定ある? 空いてたら遊び行こーぜ』
画面に浮かんだ文字を見て、私はいつもの4人で行くつもりで、すぐに返信を打つ。
『とくに予定ないよー! 美波や勇斗にも声かけてみるね!』
けれど、すぐに返ってきた新太からのメッセージは、私の予想を完全に裏切るものだった。
『いや、今回は俺と柚那、2人で行きたい』
画面を見つめたまま、文字を打とうとしていた指先がピタッと止まる。
(え……2人で?)
ドクン、と不意に心臓が大きな音を立てた。
これまでは、新太のことを本当にただの仲の良い男友達としか思っていなかった。
あの王様ゲームのあとの帰り道に言われた言葉だって、「新太みたいな人が、私なんかを本気で相手にするはずがない」と思って、深く考えないようにしていたのに。
『……わかった! 予定あけとくね!』
なんとかいつも通りのトーンで返信したものの、新太と“2人きり”で出かけることが決まった途端、急に今度の日曜日が来るのが怖いくらい緊張してきた。
変に新太を男の子として意識してしまっている自分がいることに、戸惑いが隠せなかった。
ーーーーーーーーーーー
そして、新太と出かける当日がやってきた。
今日は2人で、隣町の映画館へ行くことになっている。
お昼過ぎ。
待ち合わせをした駅の改札に向かうと、そこにはすでに新太の姿があった。
「ごめん、待った?」
私が駆け寄ると、新太は「いや、全然」と少し照れくさそうに笑った。
水族館に行ったときにも私服姿は見ていたはずなのに。
こうして『2人きり』で待ち合わせをしていると、なんだかいつもより大人っぽく見えて、また心臓が小さく跳ねる。
一緒に電車に乗り込み、並んで座って話しているうちに、ガチガチだった私の緊張も少しずつ解けていった。
映画館に着いてからは、本当にあっという間だった。
暗闇の中、ポップコーンを分け合って、同じシーンで笑って。
気がつけば、いつものように心から楽しんでいる私がいた。
映画が終わって外に出たときには、空はもう綺麗な夕焼け色に染まっていた。
「……なぁ、帰る前にちょっとさ、そこの公園寄らない?」
駅へ向かって歩いている途中、新太が少し髪をかき上げながら言った。
まだ帰りたくないという彼の気持ちがストレートに伝わってきて、落ち着いていたはずの私の心臓が、またドクンと鳴る。
「……うん。いいよ」
私たちは歩くスピードを落とし、近くにある静かな公園へと向かった。
オレンジ色の夕日に包まれた公園で、2人で並んでベンチに座る。
だけど、座った途端に、急に何を話せばいいのか分からなくなってしまった。
さっきまであんなに楽しく話していたのに。
お互いに何も話さず、ただ静かな沈黙だけが2人の間に流れていく。
遠くから聞こえる蝉の声と、自分のドクドクという心臓の音だけが、耳の奥にうるさいくらいに響いていた。
緊張で、隣にいる新太の顔を見ることすらできない。
私は膝の上で、きゅっと自分の両手を握りしめた。
どれくらい、そうしていただろう。
沈黙の重みに耐えきれなくなる寸前、隣ですうっと深く息を吸う音が聞こえた。
沈黙を破り、静かに喋り始めたのは――新太だった。