君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~
背中を押した手
明里に勇斗の連絡先を教えたあと、二人は順調にLINEのやり取りを重ねているようだった。
最近では、学校の廊下や移動教室のときにも、親しげに楽しそうに話す二人の姿をよく見かけるようになっていた。
お似合いの二人だな、なんて微笑ましく見守っていた、そんなある日のこと。
放課後のアルバイトへ向かう途中で、明里から少し緊張した面持ちで打ち明けられた。
「あのね、今度のお祭りに、勇斗くんを誘ってみようと思って……。そこで、ちゃんと気持ちを告白する!」
少し震える声で、だけど強い決意を秘めた明里の瞳を見て、私の胸までドクンと大きく跳ね上がる。
実は勇斗からも、少し前に明里とのことを電話で相談されていたのだ。
夜遅くにかかってきた電話口で、勇斗は少し言いにくそうに口を開いた。
『明里ちゃんとこの前、映画を観に一緒に出かけたんだ。楽しかったんだけどさ……なんか、自分からはあと一歩が踏み出せないんだよな。やっぱり、忘れ……いや、やっぱいいや。相談乗ってくれてありがとな』
(……いま、なんて言いかけたんだろう?)
途切れた言葉の先が少しだけ気になったけれど、きっと明里との関係で何か迷っていることがあるんだろう。私はすぐにその考えを振り払った。
「ううん、相談乗るくらい、いつでもするよ。明里ね、勇斗のこと本当にカッコいいって、すっごく照れながら話してくれたんだ。あんなに一生懸命な明里、初めて見たかも。お祭り、二人で楽しんできてね」
押し付けるわけじゃなく、ただ明里の純粋な想いを伝えるために、私は温かい声を返した。
すると、電話の向こうで勇斗が、小さく息を吐く気配がした。
「……そっか。わかった。俺も、ちゃんと向き合ってみるよ。……話、聞いてくれてありがとな、柚那」
数日前の、そんなやり取りをふと思い出す。
目の前で不安そうに揺れる親友の瞳を見つめ返し、私は明里の背中を力いっぱい押した。
「うん!うん!明里の真っ直ぐな気持ちを伝えたら、きっと勇斗も前向きに考えてくれると思うよ!がんばって!」
「ありがとう、柚那……! 私、全力でぶつかってくるね!」
それからお祭りの当日が来るまで、応援している私の方までずっと心臓がドキドキしていた。
手首のブレスレットを眺めながら、明里の恋がどうかうまくいきますようにと、心から願っていた。
ーーーーーー
お祭り当日の、夜遅くのことだった。
お風呂上がりに髪を乾かしていると、机の上のスマホが静かに震えた。
画面を見ると、明里からLINEが届いている。
ドキドキしながら開いたその画面には、飛び出してきそうなほどの、嬉しさと熱量が文字から伝わってくる報告が躍っていた。
『告白、大成功ーーっ!!勇斗くんと付き合うことになったよ!!柚那、本当にありがとーーー!!』
「よかった……!」
自分のことのように嬉しくて、思わず部屋で小さく歓声を上げてしまった。
私はすぐに『本当におめでとう!!自分のことみたいに嬉しい!明里、がんばったね!』とお祝いのLINEを返した。
明里への返信を終えて、スマホを置いて一息ついた頃。
再び画面がパッと明るくなった。今度は、勇斗からの通知だった。
『明里ちゃんから告白されて、付き合ってみることにしたよ。相談に乗ってくれてありがとな。……お前が背中、押してくれたからさ』
いつも通り落ち着いた文面だったけれど、「付き合ってみることにした」という少し慎重な言葉選びが、勇斗らしい真面目さだなと思った。
それに、最後に添えられた一言が、なんだか少しだけ胸に残った。
私は勇斗にも『本当におめでとう!明里を泣かせたら怒るからね!笑。末永くお幸せに!』と心を込めて返信を送る。
スマホをベッドに置いて、そっと息を吐いた。
大切な友達二人が無事に結ばれて、私は、素直に心の底から嬉しかった。
最近では、学校の廊下や移動教室のときにも、親しげに楽しそうに話す二人の姿をよく見かけるようになっていた。
お似合いの二人だな、なんて微笑ましく見守っていた、そんなある日のこと。
放課後のアルバイトへ向かう途中で、明里から少し緊張した面持ちで打ち明けられた。
「あのね、今度のお祭りに、勇斗くんを誘ってみようと思って……。そこで、ちゃんと気持ちを告白する!」
少し震える声で、だけど強い決意を秘めた明里の瞳を見て、私の胸までドクンと大きく跳ね上がる。
実は勇斗からも、少し前に明里とのことを電話で相談されていたのだ。
夜遅くにかかってきた電話口で、勇斗は少し言いにくそうに口を開いた。
『明里ちゃんとこの前、映画を観に一緒に出かけたんだ。楽しかったんだけどさ……なんか、自分からはあと一歩が踏み出せないんだよな。やっぱり、忘れ……いや、やっぱいいや。相談乗ってくれてありがとな』
(……いま、なんて言いかけたんだろう?)
途切れた言葉の先が少しだけ気になったけれど、きっと明里との関係で何か迷っていることがあるんだろう。私はすぐにその考えを振り払った。
「ううん、相談乗るくらい、いつでもするよ。明里ね、勇斗のこと本当にカッコいいって、すっごく照れながら話してくれたんだ。あんなに一生懸命な明里、初めて見たかも。お祭り、二人で楽しんできてね」
押し付けるわけじゃなく、ただ明里の純粋な想いを伝えるために、私は温かい声を返した。
すると、電話の向こうで勇斗が、小さく息を吐く気配がした。
「……そっか。わかった。俺も、ちゃんと向き合ってみるよ。……話、聞いてくれてありがとな、柚那」
数日前の、そんなやり取りをふと思い出す。
目の前で不安そうに揺れる親友の瞳を見つめ返し、私は明里の背中を力いっぱい押した。
「うん!うん!明里の真っ直ぐな気持ちを伝えたら、きっと勇斗も前向きに考えてくれると思うよ!がんばって!」
「ありがとう、柚那……! 私、全力でぶつかってくるね!」
それからお祭りの当日が来るまで、応援している私の方までずっと心臓がドキドキしていた。
手首のブレスレットを眺めながら、明里の恋がどうかうまくいきますようにと、心から願っていた。
ーーーーーー
お祭り当日の、夜遅くのことだった。
お風呂上がりに髪を乾かしていると、机の上のスマホが静かに震えた。
画面を見ると、明里からLINEが届いている。
ドキドキしながら開いたその画面には、飛び出してきそうなほどの、嬉しさと熱量が文字から伝わってくる報告が躍っていた。
『告白、大成功ーーっ!!勇斗くんと付き合うことになったよ!!柚那、本当にありがとーーー!!』
「よかった……!」
自分のことのように嬉しくて、思わず部屋で小さく歓声を上げてしまった。
私はすぐに『本当におめでとう!!自分のことみたいに嬉しい!明里、がんばったね!』とお祝いのLINEを返した。
明里への返信を終えて、スマホを置いて一息ついた頃。
再び画面がパッと明るくなった。今度は、勇斗からの通知だった。
『明里ちゃんから告白されて、付き合ってみることにしたよ。相談に乗ってくれてありがとな。……お前が背中、押してくれたからさ』
いつも通り落ち着いた文面だったけれど、「付き合ってみることにした」という少し慎重な言葉選びが、勇斗らしい真面目さだなと思った。
それに、最後に添えられた一言が、なんだか少しだけ胸に残った。
私は勇斗にも『本当におめでとう!明里を泣かせたら怒るからね!笑。末永くお幸せに!』と心を込めて返信を送る。
スマホをベッドに置いて、そっと息を吐いた。
大切な友達二人が無事に結ばれて、私は、素直に心の底から嬉しかった。