君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~
渦
えぐられる傷口
あれから1週間が経った。
新太からのLINEを最後に、私はもうこれ以上傷つかないよう、ただ平穏を取り戻したいと必死に願っていた。
けれど、そんな私のもとに、再び遥が教室へやってきた。
「ねえ柚那、わたしね、梨花に『柚那に新太くんと付き合ったこと言ったの?』ってまた聞いてみたんだよね。そしたら『もう柚那知ってるじゃん? 今さら言わなくてもいいっしょ』だって! ちょっと酷くない? 一応は友達だったのにさ」
遥は、悪びれもせず好奇心の塊のような目で私を見つめている。
「一応は友達だったのにさ」と憤慨してみせる彼女の言葉すら、今の私にはただの雑音にしか聞こえなかった。
けれど、遥は声を潜め、さらに私の胸をえぐるような追い打ちをかけてきた。
「それにね……もっと酷い話があるの。新太くん、梨花とベッドにいる時にも、つい柚那の名前を呼んじゃうみたいだよ。梨花、それでいつも激怒して喧嘩になってるんだって」
ドクン、と心臓が嫌な音を立てた。
私を抱いていた時と同じ顔、同じ熱で、今は梨花に触れているんだ……。
生々しい想像に吐き気がするのに、私の名前を呼んでいるという事実が、ほんの少しだけ残っていた未練をひどく刺激して、そんな自分が情けなくて涙が出そうになる。
彼女の「無自覚で残酷な報告」は、その日だけでは終わらなかった。
また違う日には、わざわざ教室までやって来て、こう言った。
「そういえばさ、新太くんまだあのブレスレット着けてるんだってね。……修学旅行で沖縄行った時にお揃いで買った、ホタルガラスのやつ」
「……え?」
「梨花が怒ってたよ。新太くん、何聞かれても『なんとなく着けてるだけだし』って誤魔化してるみたいだけど、みんな『本当は柚那の方がよかったって後悔してるんじゃない?』って噂してる。……あ、お財布もまだ使ってるんだってさ」
沖縄の綺麗な海をそのまま閉じ込めたような、深い青色のガラス。
あのブレスレットを、梨花と肌を重ねる今も手首に着けているというのだろうか。
梨花が「捨てて」と言っても捨てられないのか、それとも本当に何かの感情が残っているのか。そんなことを噂の種にされていると思うと、情けなくてたまらない。
もう、うんざりだった。
なぜ別れたあともこうして彼らの生々しい動向が耳に入り、私の心をズタズタに切り裂いていくのだろう。
最初は波風を立てないよう、ただ黙って聞き流していた。
けれど、私の中の何かが、ついに限界を突破した。
「……もう、そういう話やめて」
「え?」
「もうそういう話、私には関係ないからさ」
震える声だったけれど、私は遥をまっすぐに見つめ、突き放すように言って彼女の言葉を遮った。
新太からのLINEを最後に、私はもうこれ以上傷つかないよう、ただ平穏を取り戻したいと必死に願っていた。
けれど、そんな私のもとに、再び遥が教室へやってきた。
「ねえ柚那、わたしね、梨花に『柚那に新太くんと付き合ったこと言ったの?』ってまた聞いてみたんだよね。そしたら『もう柚那知ってるじゃん? 今さら言わなくてもいいっしょ』だって! ちょっと酷くない? 一応は友達だったのにさ」
遥は、悪びれもせず好奇心の塊のような目で私を見つめている。
「一応は友達だったのにさ」と憤慨してみせる彼女の言葉すら、今の私にはただの雑音にしか聞こえなかった。
けれど、遥は声を潜め、さらに私の胸をえぐるような追い打ちをかけてきた。
「それにね……もっと酷い話があるの。新太くん、梨花とベッドにいる時にも、つい柚那の名前を呼んじゃうみたいだよ。梨花、それでいつも激怒して喧嘩になってるんだって」
ドクン、と心臓が嫌な音を立てた。
私を抱いていた時と同じ顔、同じ熱で、今は梨花に触れているんだ……。
生々しい想像に吐き気がするのに、私の名前を呼んでいるという事実が、ほんの少しだけ残っていた未練をひどく刺激して、そんな自分が情けなくて涙が出そうになる。
彼女の「無自覚で残酷な報告」は、その日だけでは終わらなかった。
また違う日には、わざわざ教室までやって来て、こう言った。
「そういえばさ、新太くんまだあのブレスレット着けてるんだってね。……修学旅行で沖縄行った時にお揃いで買った、ホタルガラスのやつ」
「……え?」
「梨花が怒ってたよ。新太くん、何聞かれても『なんとなく着けてるだけだし』って誤魔化してるみたいだけど、みんな『本当は柚那の方がよかったって後悔してるんじゃない?』って噂してる。……あ、お財布もまだ使ってるんだってさ」
沖縄の綺麗な海をそのまま閉じ込めたような、深い青色のガラス。
あのブレスレットを、梨花と肌を重ねる今も手首に着けているというのだろうか。
梨花が「捨てて」と言っても捨てられないのか、それとも本当に何かの感情が残っているのか。そんなことを噂の種にされていると思うと、情けなくてたまらない。
もう、うんざりだった。
なぜ別れたあともこうして彼らの生々しい動向が耳に入り、私の心をズタズタに切り裂いていくのだろう。
最初は波風を立てないよう、ただ黙って聞き流していた。
けれど、私の中の何かが、ついに限界を突破した。
「……もう、そういう話やめて」
「え?」
「もうそういう話、私には関係ないからさ」
震える声だったけれど、私は遥をまっすぐに見つめ、突き放すように言って彼女の言葉を遮った。