365日、毎日誰か恋してる。

1.恋の予感〜入学式〜


 わたし、今野結!今日、高校一年生になるの!こんなわたしだけど少女マンガのヒロインみたいな恋愛できるのかな〜って思ってみたりしてる普通の女の子…。キラキラした薔薇の高校生活をおくりたいっっ!

「結〜!起きなさいっ!初日から遅刻するわよ〜!」

一階からお母さんの声がする。そうだった!初日から遅刻するってなったらヒロインなんてつとまらないっ!

…?

ちょっと待って?

ヒロインって初日から遅刻して、一匹狼のイケメンに『おもしれぇ女』って思われて恋するみたいなの、あるよね??

ってことは…

わざと遅刻するの、ありかも…??

「ありなわけないでしょっ!」

「え、お母さん、?聞こえてた…?」

「大声で『おもしれぇ女』とか言ってる子の声が聞こえないわけないでしょうっ!」

「ひぇっ、冗談っ!冗談ですっ!」

「よろしい…はやく準備をするように…」

「は、はいっ!」

ふう…危ない。一安心。

「仕方ない、準備するか…」







「行ってきまーす」

「「行っていらっしゃい!」」

今日もお母さんとお父さんにお見送りされながら家を出て自転車を漕ぎ始める。

「やっぱりいつも通りの朝じゃ、いつも通りの一日だよね〜…」

「結、朝から何言ってるの?」

「わっ!真那っ!?」

「おはよ、結。」

笑いながらそういう身長の高い女の子は、わたしの幼馴染で親友の八坂真那。

テニスがすっごく上手で何かと世話を焼いてくれて優しいんだよねっ!お世話になってます…。

「もう着くね」

そう言われて顔を上げるとたくさんの人で賑わう学校があった。

「ここで3年間過ごすんだね」

「まぁ結が変なことして退学にならなければね」

「真那っ!?何てこと言うのっ!?」

「でもやりかねないよね」

「た、確かに…」

去年のことを思えば、何かと問題を起こして職員室の常連になって先生に迷惑かけたな…。

そんなことを思ってるうちにクラス表が貼られている校門についた。

「えっ同じクラスじゃんっ!」

「マジか…」

肩をがっくり落とす真那。

「嬉しいくせに〜」

「何かと世話しないと誰かに迷惑かけるから全然っ嬉しくない」

「はい、すみません」

「危ないよっ!!避けてっ!!!」

「え、」

声をする方に目を向けると目の前にはサッカーボールが。

無事顔面に命中して倒れる。

「いった〜…」

「うちのやつがごめんね?大丈夫?あ、俺勇斗」

「全然、」

話しかけてくれたから目を開けるとTHE優しいイケメン男子がわたしの顔を覗き込んで心配そうにしていた。

「大丈夫ですっ///」

目を合わせられなくて下を向くと

「鼻真っ赤。トナカイさんみたいでかわいいけど怪我してたら大変だから保健室行こ?」

と、トナカイさん…?か、かわいい…?

「だ、大丈夫です///」

「あら、お顔まで真っ赤」

勇斗先輩のほうが100倍も1000倍も可愛いんだけど?

「ん〜…じゃあ」

顔を上げると、ちょっといたずら好きそうな顔をした勇斗先輩がこっちを見て手を握った。

「姫様、一緒についてきてくださりますか?」

「えっ…」

「だめか〜…じゃあ」

「姫、ついてこい」

「///」

「ん〜…だめ?」

「いやっだめなんじゃなくて…」

「じゃなくて?」

「かっこよすぎて直視できないって言うか…///」

「あ、そうなの?ありがと」

にこっと眩しすぎるくらいの笑顔で見つめてくる。

「じゃ行こっか」

「は、はい///」

口を手の甲で隠して笑いながら手をさらっと繋いでくる。

「え、え?」

「ん?どうしたの?」

「あの、手、//」

「あ、ごめん。嫌だった?」

パッ、と離してくる。

ちょっと寂しくなったのは秘密。

「いや、そういうわけじゃないんですけど、//」

「だけど?」

「勇斗先輩って距離近いんだな〜って//」

「よく言われるっ!」

「言われると思います」

「そうでもないと思うんだけど」

話しているうちに保健室について、勇斗先輩が鍵をさしてドアを開ける。

「鍵、持ってるんですね」

「そうそう、保険委員会の委員長でさ毎朝鍵開けないとなんだよね」

「そうなんですか、」

「はい、ここ座って」

勇斗先輩が座っている小さなソファの隣をぽんぽん、と叩きながら言われる。

「はい」

「前髪、触っていい?」

「は、はい」

「じゃ失礼するね」

慣れた手付きで前髪を上げて消毒をする。

誰にでもしてるのかな、なんて思ってしまって少し胸が締め付けられる。

「次、鼻触るね」

「はいっ」

笑ってくるから首を傾げると

「いや、まだ鼻赤くて。やっぱりトナカイだなって」

「ば、バカにしてますっ!?」

「違うよっ、かわいいなって」

「かっかわいいって…」

「いや?」

「違くてっ…誰にでも言うと、勘違いしちゃう子もいるかもじゃないですか、」

「それが嫌なの?」

「はっ、ち、違いますよっ」

「わかってるよ」

「はい、終わったよ」

「ありがとうございます、」

「全然。片づけしてから戻るから教室行っていいよ」

「ありがとうございましたっ」

「じゃあまたね」

ふわりと優しく微笑んで手を振ってくる勇斗先輩。



廊下に出るとそよ風がふいてきて





その風は恋を知らせている気がした。
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