二百物語
幽霊になる時間
家に帰ると、息子が自殺していた。学校でひどいイジメに遭っていたのは知っている。それなのに、俺は救えなかった。いじめっ子は近所でも有名な少年だった。もしかしたら、この時間でも外にいるかもしれない。俺は震える手でハンドルを握る。――見つけた。夜でも目立つ金髪頭。アクセルを思い切り踏んで、そいつの体を吹き飛ばしてやった。「ははは、ざまぁ見ろ!」ふと、バックミラーを見る。後部座席に、笑う息子の姿があった。