【1章だけ大賞長編用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。
「(う、嘘でしょ!?やっぱりあの〝王子様〟って……元彼の理人くんのことだったの!?)」
信じられない、あの彼が社内の花形部署に所属しているエリート社員の王子様!?
何より高校時代の元彼と同じ会社に転職しちゃったってこと、私!?
パニック寸前の悠里は、どうにかその場を誤魔化そうと必死の引き攣り笑いで耐え抜いていく。
けれど動揺の色を隠しきれていない様子の理人は、手に持っていた大量の資料をバサリと落とた。そして真っ赤に染まった顔を両手で隠しながら、その場にしゃがみ込む始末。
「あ、あの、理人くん?大丈夫?」
「……ごめん、ちょっと大丈夫じゃないかも」
「えぇ!?」
「悠里ちゃんにとってみれば、元彼と会社で会うなんて気まずいよね」
「そんなことは……」
「でもごめん。俺、それでも君に会えたことが嬉しくて」
「え?」
「ちょっと今……パニックになってる。どうしよ、いろいろ追いつけない。倒れそう」
「えぇ!?あ、あの、どうしよう」
ここは一旦退室するべきだろうか。
悠里も一度一人になって頭を整理する必要があった。このままではこのあとの業務に支障が出てしまう。
「じゃあ私、外に出てるね?あの、もう一つの会議室の準備に行ってるから……」
「──行かないで」