十秒怪談

優良社員

わたしの勤める会社に、Bという女性社員がいる。

ある日の昼休み、数人の同僚たちと連れ立って食事をとっていたときのことだ。席についたBが、週末の予定について楽しげに語りはじめた。聞けば、恋人の運転する車で、県内最恐と噂される心霊スポットへ肝試しに出向くのだという。

物好きなことだ。同僚の何人かは眉をひそめ、わたしも少しばかり心配になって、やめておいたほうがいいと忠告した。しかし彼女は、まったく意に介する様子もなかった。

週が明けて月曜日、彼女は元気に出社した。どうやら取り越し苦労だったらしい。わたしは内心でほっと息をついた。

それ以来、彼女の勤務態度は見違えるほど良くなった。

以前の怠け癖はなりを潜め、与えられた仕事を黙々とこなすようになった。不満を垂れることもなくなり、常ににこやかで、疲れた顔を見せることもない。上司の評価も上々である。

彼女が変わった理由については、誰もが考えないようにしている。
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