カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜後編
携帯を開いたんだけど、やっぱり…

ずるいよね…

想い留まり静かに閉じた。
その代わり…

私は、真由美さんの元へと向かった。


真由美さんの元へ行くと、半泣き状態の私を静かに受け入れてくれた。


真由美さんは私が、言い出すまで何も聞かない。

そんな気遣いに心地よさをいつも感じていた。

『あーっ。あーっ』
ソファーの片隅で膝を抱えて座り込む私のもとへ、シュンさんと真由美さんの愛娘、こむぎちゃんが無邪気な笑顔で、足元もおぼつかない感じでやってくる。

2歩、歩いてはぽてっと尻餅つきまた歩きだす。

「おいで!こむぎ!」




きゃっきゃっと歓声をあげながら私に抱き着いてきた。




「偉いね?上手にあんよできたんだね?」




椛よりも小さな手足をばたつかせ喜ぶこむぎ。

なんだか…ほんのちょっぴり元気もらえたような気分。

「真由美さん…カズキ最近なんか…おかしいんです。大工も辞めたみたいだし…」

「どんなふうに?」

「よくわからないんですけど…連絡が中々とれなくて…どうしたんでしょうね…」


「まぁ…中学の時のよりは確実にお互い大人になっているからね…
ちゃんと話しあうといいよ?
カズキが今、何を考えてるか、何の仕事してるのかも知る必要あるしね。
じゃないと不安でしょ?」


「そうですね…」




こむぎはくるりと方向を変えてダァーッ、ダァーッ言いながら私から離れて行った。









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