く ち な し―身代わりの恋
レンタカーが前に止まり、夫の祐介が降りてきた。
やけに勝ち誇ったような顔をしている。
「乱暴したら傷害罪で訴えるぞ」
祐介は、山脇さんを掴んでいた大橋の手を払い除けると、少し離れていた私の方を見た。
「分かりやすいんだよ、お前」
その目は、軽蔑と憎悪とが入り混っていた。
「急に強気に離婚なんて言い出すから、絶対に後ろで糸引いてる奴がいるって思ったんだ」
今度はその目を大橋に向け、唇の端を歪ませて笑った。
「あんた。物好きだな。こんなマグロなオバサンの何処がいいんだ?」
その挑発にまんまと乗った大橋は、
「ダメっ!!」
私の制止も間に合わず、祐介の顔を拳骨で殴ってしまった。
祐介が大袈裟な位に倒れ、かけていた伊達眼鏡が地面に落ちた。
「大丈夫ですか!?」
そのそばに山脇さんが駆け寄ると、
「バカ! 今のをちゃんと動画で撮れよ! 使えねーな!」
凄んで、再び画像に収めさせる。
「梓、車に」
シャッターが連打される中、大橋は私を自分の車に乗せようとした。
「お前はこっちだろ!」
それを祐介が阻んで私の腕を掴む。
「放して!」
こんなあざとい男、嫌だ。
振り払おうとしても、折れそうな位、強く握られてダメだった。
祐介は大橋を山脇さんに押さえさせ、乱暴に私を車に押し込むと、
「お前は、一生、俺のシモベだよ」
そう吐き捨てて笑った。
やけに勝ち誇ったような顔をしている。
「乱暴したら傷害罪で訴えるぞ」
祐介は、山脇さんを掴んでいた大橋の手を払い除けると、少し離れていた私の方を見た。
「分かりやすいんだよ、お前」
その目は、軽蔑と憎悪とが入り混っていた。
「急に強気に離婚なんて言い出すから、絶対に後ろで糸引いてる奴がいるって思ったんだ」
今度はその目を大橋に向け、唇の端を歪ませて笑った。
「あんた。物好きだな。こんなマグロなオバサンの何処がいいんだ?」
その挑発にまんまと乗った大橋は、
「ダメっ!!」
私の制止も間に合わず、祐介の顔を拳骨で殴ってしまった。
祐介が大袈裟な位に倒れ、かけていた伊達眼鏡が地面に落ちた。
「大丈夫ですか!?」
そのそばに山脇さんが駆け寄ると、
「バカ! 今のをちゃんと動画で撮れよ! 使えねーな!」
凄んで、再び画像に収めさせる。
「梓、車に」
シャッターが連打される中、大橋は私を自分の車に乗せようとした。
「お前はこっちだろ!」
それを祐介が阻んで私の腕を掴む。
「放して!」
こんなあざとい男、嫌だ。
振り払おうとしても、折れそうな位、強く握られてダメだった。
祐介は大橋を山脇さんに押さえさせ、乱暴に私を車に押し込むと、
「お前は、一生、俺のシモベだよ」
そう吐き捨てて笑った。