く ち な し―身代わりの恋
「……愛人から私に電話かかってきたのよ?」

「通話の録音も無いだろ。それに、ホテルの宿泊記録もお前が自分が泊まった様に処理してくれただろうが。俺は妻と視察に行った先で怪我をした、それだけさ」

「!」

そうだった。
あの時の、自分の浅はかさを悔やむ。

「アイツから慰謝料ぶんとってやる」

ここまで汚い男だとは思わなかった。

「止めて」

そんな事をしたら、逆にあの人の奥さんに訴えられる事態になるかもしれないのに。

「あと。どうしても離婚したいっていうならさっきの写真、世間にバラ蒔くからな。離婚劇の悪者はお前だよ」

「……」

不敵に笑う夫を見て、私は、この人からは一生逃げられないかもしれない、と思った。



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