く ち な し―身代わりの恋
″ アイジン ″ ――

ようやく事態が飲み込めた。

祐介の浮気相手から、私に電話がかかってきた。しかも夫の携帯を使って。

「……それで、何かご用ですか?」

なるべく落ち着いた声を出す。

《今、あたし、祐ちゃんと鹿児島でお泊まりしてるのね》

「!」

そうだろうと思ったけれど、まさかそれを愛人に暴露されるとは。

《で、今、祐ちゃんと部屋の露天風呂に入ってたの》

「は?」

何で、そんな話を聞かなきゃいけないの?
この子、ちょっとオカシイ?
怒りよりも苛立ち、電話を切ってやろうとも思ったのに、

《祐ちゃん、滑って転んじゃって、頭打って気絶しちゃったの。どうしたらいい?》

「……え……」

それでは済まされない状況が伝えられた。


《このままじゃ、死んじゃうよ――》
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