振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。

「光ー。」

聞き慣れた声。

「入るぞ。」

樹が部屋へ入ってきた。

「……何。」

「何じゃねぇよ。」

樹は俺の顔を見るなり、呆れたように笑った。

「お前。」

「ん?」

「今、気持ち悪いくらいニヤニヤしてる。」

「……してないし。」

「いーや、してるね。」

樹はニヤニヤしながら俺の顔を覗き込む。

「電話してたん?」

「……うん。」

「へぇ。」

ベッドの近くまで来た樹が、面白そうに口を開く。

「何? 澪ちゃん?」

その名前を聞いた瞬間だった。


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