振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
「……っ。」
心臓が跳ねる。
「今日は。」
光くんが静かに口を開く。
「もう少しだけ、澪ちゃんの隣にいてもいい?」
そんなふうに聞かれたら。
答えなんて、最初から決まっていた。
私は繋がれた手を、少しだけ握り返す。
「……居てください。」
その瞬間。
光くんの表情がふわっと柔らかくなる。
「ありがとう。」
二人で並んで夕焼けを見上げる。
繋いだ手の温もりも。
隣にいる安心感も。
全部が愛おしかった。
今日という一日は、きっと一生忘れられない。
そんな予感が、胸の奥で静かに灯っていた。