振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
朱里さんの後ろ姿が、人混みの中へ消えていく。
私はしばらく、その場から動けなかった。
「……。」
胸の奥が、ざわざわする。
朱里さんは、嫌な人じゃなかった。
むしろ真っ直ぐで、勇気のある人だった。
だからこそ、あの言葉が重く残る。
『私も本気で好きなんです。』
『正々堂々、頑張ります。』
私はゆっくりと息を吐く。
そして、カフェの中へ戻った。
ドアを開けると、咲がすぐにこちらへ駆け寄ってくる。