振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
「澪?」
隣で咲が小さく声をかけてきた。
「大丈夫?」
「う、うん。」
全然大丈夫じゃない。
心臓がうるさいくらい鳴っている。
「顔真いけど平気?」
「あ、ちょっと暑いだけ。」
「でもエアコン効いてるよ?」
「……。」
何も言い返せない。
その時だった。
「篠宮、お前遅れたんだから歌えよ!」
誰かがマイクを光へ向ける。
「いや。」
即答。
「えー!」
「歌ってよ!」
「無理。パス。」
女子たちが残念そうな顔をする。