振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。
第8話「止められない距離」
「澪ちゃん」
文化祭のざわめきの中で、名前を呼ばれた。
振り向くと、少し離れたところに篠宮先輩が立っていた。
人混みの中なのに、その声だけやけにまっすぐ届く。
「……はい」
心臓が一瞬跳ねる。
篠宮先輩は少しだけ周りを見て、それから小さく手招きした。
「話せそう?」
その一言だけで、逃げられない気がした。
「……はい」
私は咲に事情を説明して、篠宮先輩の元へ向かう。