帰宅途中、走り出しそうになる足をゆっくり進めた。
ぶっ殺したい、目の前の女を。理由はない。夜なのにやけに高い湿度のせいだ。殺意は呪いのように唐突に現れた。出所不明の怒りが頭に満ちる。けど垂れた汗が右目に入り、塩っぱい痛みにわずかに冷静になる。殺したら捕まる。ゴメンだ。けど女の動きがおかしい。既に不審者と思われている? まだ何もしてないのに。逃げたら殺そう。
っていう男の呟きが背後から聞こえたから。
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