~KissHug~

~6~


移動教室の後、いつものように
一人で歩いていた。

階段の踊り場で声をかけられた。

「歩来ちゃん」
芳樹だった。

私は無視して階段を降りようとしたところで
「今日、時間ない?」

私は驚いて芳樹を見上げた。

「ちょっと話があるんだ。」

「今どうぞ」

「ここではさ~」

「彼女に何を言われるか分かんないし
大事にしてあげたら?」

「千鶴?あれは、何をしても
俺のとこにいるから、大丈夫」

私の手をひいて
踊り場に引っ張った。


私のメガネをはずした。

  朝からずいぶんメガネはずされるわ


「やっぱ、歩来ちゃんって、まじかわいい~
癒されるっていうのか」


「返して下さい!!」

押し問答してるうちにメガネが落ちて
そこに私が乗ってしまった。


バキッ

この体重でやったメガネは無残だった。

「ごめん!歩来ちゃん!!」
私は、ショックで涙が出た。

芳樹はおろおろしていた。

4時間目のチャイムが鳴った。

視界がぼやけて恐怖心がおそってきた。
涙で視界がゼロになって
隣でひたすら謝る芳樹も見えない…

  孤独
  素良、助けて…

その時、ふわっと抱きかかえられた。

「下ろして、重いんだから」

「ごめん、マジごめん。
教室まで送っていくから。」

私は恥ずかしくて芳樹の胸に顔を埋めた。

誰に見られているのかも
何も見えない…

不安で一杯だった。
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