~KissHug~
「先生に素良は似てるのね。」

「そうだよ。
なぜか、素良は俺ににてるかも……」

コーヒーを私に勧めた。


「一緒にいることも愛なら
遠くから見守る愛もあるんだ。
素良は、傷つけあって、泣く君を
見るのがつらくて
身を引いた…
芳樹の愛が強いなら
素良の愛は優しい
まるっきり正反対だね。」



「だから、私はふたりともに
惹かれてしまうんですね……
ずるい女だなって
自分がいやになります。」


「いい女だからだよ。
自分に自信を持って生きなさい。
長い人生、きっと
どこかでまたヒントが与えられて
答えが見つかるから。」


コンコンコン

激しくノックされた。
ドアが開いて
女の子が飛び込んできた。


「麻衣、待ちなさい~
パパにお客様なんだから!!」

頭を下げて奥さんらしきひとが
追ってきた。

「麻衣、おねえちゃんにご挨拶は?」

背筋をピーンとして
「いらっしゃいませ。」と言った。

院長は麻衣ちゃんを膝に座らせた。

「いらっしゃいませ。
大野の家内です。」

奥さんは優しい笑顔で笑った。
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