札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
オリヴィアだって、お金のことがなければそうしているだろう。
だが、あんな大金をもらってただで帰るわけにはいかない。
一年後には、きっちりとその分を働いて返さなければならないからだ。
そうでなければ、この契約結婚は成り立たない。

彼女を張り倒すくらい造作もない。
だが、オリヴィアが本気で力を入れたらアリスの腕は折れてしまう。
オリヴィアがアリスを睨みつけて、汚したドレス代だけは絶対に払ってもらうよう説得しようとした時だ。


「──オリヴィア!?」


ロベールの声にハッとするアリスはすぐにカップを隠すようにテーブルに置いた。
反射的に動いたアリスの早業に感動しつつ、こちらに寄ってくるロベールを見る。
また夜に会うと勝手に思っていたため、なぜここにいるかわからない。
彼の仮面は相変わらずだが、今日は朝と同じ青年の姿でいるようだ。


「ロベール様、どうしてここに?」

「ここは俺の屋敷だぞ? それよりもそのドレスは……」


オリヴィアはロベールの視線のにある紅茶がかかったドレスを見てハッとした。

(やばっ、汚れたドレスを見られたわ……!)

その部分をロベールから見えないように腕で隠す。
次に弁償しろと言われるのかが恐ろしくて誤魔化していると、確認するようにこちらを覗き込むロベール。


「オリヴィア、大丈夫か?」

「え……あ、はい」


彼の言葉とは思えない優しい声色に鳥肌が立つ。
どうして急にこんな扱いになったのか、その理由はすぐに明らかになる。


「……アリス、俺の妻に何をしている。これはどういうことだ?」


ロベールはアリスに圧をかけるように言い放つ。
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