札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
「いっ……!」

「嫌だわ……変な声を出さないでよ」


踏まれた足をすぐに確認できなかったのは、ドレスの動きにくさやコルセットのせいもあった。
しかしこうやって言い訳を塞がれたのは初めてなので、驚きを通り越して呆れてしまう。
アリスはあくまでもオリヴィアに掴まれそうになったから反撃したと、そう言いたいようだ。


「反論があるなら、ロベール様の前できちんと伝えた方がよくってよ?」


そう言いつつ、オリヴィアの足をヒールでグリグリと踏んでいるではないか。
これ以上、余計なことを言ったら足を貫くぞ、と言わんばかりだ。


「ほら、オリヴィア様もそう言ってますし、これ以上は言わないであげてくださいませ」

「…………」

「自分がロベール様の妻だと勘違いしているオリヴィア様が可哀想ですから」


アリスがそう言って困ったようにクスリと笑った。

(こんな痛み、どうってことないわ)

ヒールで足を踏まれたからなんだというのか。
反抗的なオリヴィアの表情を見てか、アリスの力がさらに強まった。
普通の令嬢ならば、このやり方で十分なのだろうが、オリヴィアには通用しない。

(蚊に刺されたほうが、まだ嫌に思えるわ)
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