札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
今頃アリスはマルセルによって、レディズリー公爵家に帰るように促されていることだろう。


「オリヴィアは金を欲していたな。英雄と呼ばれているディルムーン辺境伯に何があった?」

「今から人を派遣して調べます」

「どこくらいで調べがつく?」

「遠くはありませんから、数時間もあれば情報が届くかと」

「そうか。なら待とう」

「ふふっ、随分と気が長いですね」

「俺の〝妻〟となる女性だ。よく調べておきたい」

「そうですか。こちらが今あるディルムーン辺境伯の資料です」


ロベールはマルセルから薄い資料を受け取った。
そこには家族構成や普通ならば知り得ない情報まで書かれている。
しかしディルムーン辺境伯については、この程度の資料しかない。

大半は今までの功績とディルムーン辺境伯のこと。
兄のペリエ、母のミリの情報もわずかなものだ。

(オリヴィア・ディルムーン……彼女は俺の妻だ)

一年だけの契約結婚、彼女は金を。ロベールは表向きの立場を守るために行うものだ。


「ロベール様……?」

「……どうした?」

「いえ、なんでもありません」


ロベールは自分の口角が無意識に上がっていることにも気づかないまま、オリヴィアの驚いた表情を思い浮かべていた。



(ロベールside end)
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