札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~
そう言い張る父にロベールからもらった契約書らしきものが入った封筒を渡す。
くるりとひっくり返した父はそのまま固まってしまった。
「まさか……なぜエンバルト公爵家の紋章が……?」
「……エンバルト公爵家?」
「いや、ありえない。だが、この蜘蛛の紋章を持つのはエンバルト公爵家しか……」
父はエンバルト公爵家について説明してくれたが、オリヴィアだって三大公爵家については多少なりとも知っているつもりだ。
「彼が経営している娼館ということか?」
「えぇ、たぶん! そうだと思います。よくわからないですが……」
封蝋を剥がして、紙を開いた父はこれでもかと目を見開いた。
それからオリヴィアを交互に見ている。
「オ、オリヴィア……これが何かわかっているのか!?」
「わたしはこれをお父様に届けるように言われただけですから……!」
父の目線は書類を上から下まで何度も往復しているではないか。
オリヴィアも何が書いてあるかまではわからない。
お菓子に気を取られていたからだ。
「ま、まさか……そんな……」