恋の終電列車
 自宅に帰るとまだ淀野さんと再会した余韻に浸っていた。やっぱり連絡先くらい聞いておけば良かったかと思いを巡らせ少し後悔の念が押し寄せる。

 「やみつきカルパス好きなのも一緒だったな…」

 好きなつまみの種類まで一緒だった私は何となく今日偶然出会えた事が奇跡のように思えて1人舞い上がってしまった。

 アパートからベランダに出ると、住宅街だけあってマンションや住宅が密集している。隣の家からも程近い為、日当たりこそそんなに良好ではないが、間取りや立地的に職場から近く、家賃も割合良心的な為、私はこのアパートが気に入っていた。

 「やっぱり連絡先くらい聞いておけば良かったな。」

 ベットに横たわり、スマホの画面に目に通す私は、また会えるかも分からない淀野さんに連絡先も聞かなかった事を後悔していた。

 でも、後悔先に立たずの私に、またチャンスが巡ってくるかは分からない…

(……取り敢えず淀野さんのお家もこの辺だって言ってたし、またあのスーパーに行けば会えるかも……)

 まるでもう恋する乙女のように、淀野さんにまた会いたいと願ってしまう私は、これでは半ばストーカーだと自分の思考が恥ずかしくなる。

 でも、あのスーパーは私が一番お気に入りのいつも行くスーパーである為、また偶然出会ってしまってもそれは防ぎようがない…。

 結局思考を巡りに巡らせた私は、いつも通りスーパーに行き、また偶然出会ってしまうのは仕方ないといつも通り生きていこうという結論に行き着いた。

 そんな私達は運命の糸に導かれるようにまた偶然出会う事になる。
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