余所者-よそもの-【 3 】
分厚い上着を脱ぎ、チェアに引っかけた。
カウンターへと入り、多夜さんの置いて行ったグラスを洗おうと腕を捲る。
「………」
ふと、右腕に浮かぶ刺青。
龍に喰われたウロボロスと、目があった。
静寂のリビドー。
チクタク、と時計の針が、時間を刻む音が響く。
僕は苦しい顔をしたウロボロスに『ケンタロウ』と、呼ばれた気がした。
「……先輩」
そういえば。
僕が初めて”見るだけ”でいられなくなったあの日も。
先輩はここに、いなかった。