余所者-よそもの-【 3 】
「でも。薬はやらねぇ」
「……どうして」
「薬はお前を眠らせてやることはできる」
「………」
「でもな。お前の代わりに怖がることも、答えを出すこともできない」
……どういう意味?
私が首をかしげると、獏は意地悪く口元を緩めた。
「今日はいっぺん、自分で寝てみろ」
「……眠れなかったら?夢を見たら?」
「そんときゃ来い。俺はここにいる」
「………」
私はもう、諦めて踵を返す他なかった。
とぼとぼと、明るい獏の部屋から、暗い自分の部屋に戻る。
――ガラ、と扉を開けたところで、後ろから声がかかった。
「ああ、そうだ」
「……なんですか?」
「お前が今日許したこと。答えはなんでも自由だ」
「………」
「その上で、俺が思った答えは」
なんだろう?
首だけで振り返る。
「お前は今日『嬉しい』って思ってもいい自分を、許せたんじゃねぇか?」
――嬉しいって思ってもいい自分?
「………」
「おやすみ」