余所者-よそもの-【 3 】
千景は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を上げた。
「僕、ママと一緒に暮らして、初めてっ……」
「………」
「生きてて……よかったって、思ったんだ」
私はその顔を、しばらく見つめていた。
何か言おうとして、けれど言葉にならなくて。
……何も言えなかった。
「毎日が、嬉しい」
「………」
「『おやすみ』って言って、寝る前に、明日は何をしようって考えたり、」
「………」
「『おはよう』って言って、起きて、今日は何を話そうって考えたり」
「………」
あまりにも素直な言葉に、喉の奥が詰まる。