余所者-よそもの-【 3 】
「………」
開いたドアの先。
じっと私を見下ろす、シドの影。
スッ、と、彼の手が動く。
視界の端でそれを捉えた瞬間、私の身体は大げさに跳ね上がった。
ゆっくりと伸びてくる手。
何をするかわからないその手が怖くて、反射的に身体を後ろへ逸らす。
その直後。
逃げようとした腕を、強引に引き寄せられ、
「……っ」
言葉なく、シドに抱きしめられた。
煙草の苦い匂いと、骨が軋むほどの強い圧迫感。
その胸の中に押し込められるように、じっと身を固める。
耳元で、はあ、と。
長く重い吐息がこぼれた。
シドは何も言わない。
私は何もできない。
ただ逃げ場のない腕の中で、戸惑うことしかできなかった。
やがてシドはゆっくりと腕を緩めると、そのまま私の身体を肩へと担ぎ上げた。
逆さになった視界。
歩きだしたシドから伝わってくる振動。
遠退いていくエンジン音。
「車、回しとけ」
シドが口を開いたのは知らない誰かへの指示だけ。