真夏の一夜は恋の始まり(新装版)
 すると…⁇良樹先生はこっち、と言って私をみんなから見えないところに誘導した。

 「ここなら誰にも見えないから、好きなだけ泣いてもいいですよ。」と頭をポンポンとされた。

 「すみません…。」

 私が泣いている間、良樹先生はずっと傍に居てくれた。誰かに見られたらまた誤解をされてしまうかもと心配になったけど、不思議と誰もこなくて、私は大人なのに子どもみたいに、沢山泣いてしまった…。

 一頻り泣いて、ちょっとスッキリした私は「有難うございます。もう大丈夫です。」と良樹先生にお礼を言った。
 
 「差し出がましいようですけど、花凛先生の落ち込んでる原因は彼氏さんですか⁇」

 「あーまぁそんな所です。でも大丈夫ですよ。」と私はボソッと答えた。

 「僕なら花凛先生をこんな風に泣かせたりしませんよ⁇やっぱり僕は諦められません。僕との事、ちゃんと真剣に考えてください。僕なら花凛先生を泣かせないし、絶対に幸せにします。」

 続けて言う良樹先生に正直ドキッとしてしまった…。絶対に大一には言えないセリフだなと思った。私が言って欲しい言葉は、大一じゃなくて違う人が言うんだなって、真剣な良樹先生を前に申し訳ないけどそう思ってしまう自分がいた。

 雪がまだ降っている⁇大一も見ているだろうか⁇気になって連絡したいけど自分からは連絡できない…。

 雪は一晩中降り続けた。私の気持ちに迷いはない。良樹先生のところに行きたい気持ちは本当にない…。

 でも、良樹先生の優しさに縋ってしまいそうな夜だった…。
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