真夏の一夜は恋の始まり(新装版)
 若い綺麗な女の子と寮から出てきた…⁇俺は頭を働かせて思いを巡らせた…。

 「あっ⁉︎」

 俺は沙奈が寮まで訪ねて来た時のことを思い出した。あの時以外思いつかない。

 「あれはただの幼馴染で、弟の彼女だし…。」

 そうか‼︎あれを見て俺が浮気してると勘違いしてたのか⁉︎

 「そんな嘘が通用すると思ってるのか⁇バカ大一⁉︎この浮気者⁉︎

 バタンッ⁉︎

 俺を罵ったかと思うと花凛は眠りのスイッチが入ったのか、そのままぐっすりとスヤスヤ寝てしまった…。

 それを見て宮内さんと歩美さんが笑っている。

 「花凛て昔からお酒が入りすぎると気分良くなって饒舌になって、つい本音が出るんだよね。大体最後は寝ちゃうから。」

 歩さんはやっばり花凛を見ながら笑った。

 「まああれだな、違うとは言え花凛ちゃんが誤解するような事をお前がするからだな。」

 宮内さんは俺を諭すように言った。宮内さんは頼んだ酒を飲みながら苦笑している。

 「だったらそう言えば良かったのに…。」

 俺は何だそっか。と安心して溜息が出た。

 「花凛は言えないんだよ。可愛いのに自分に自信がないから、何かあると自分が悪いからだって自分を責めちゃって、結局辛くなっちゃうみたい。元彼とも相当色々あったしね…。」

 「まあ言いたいことがあったら溜めずに腹を割って何でも言うことだな。」

 宮内さんに諭されるなんて不思議に感じたが、言っていることは確かに当たっていた。

 「そうですね。言わないと分からないですね。」

 ポツリと言ったけど、本当に自分は口下手だなと思った。言わなきゃ伝わない。俺は今回のことでそれを実感するのだった。

 「まあ安心した。タクシー呼ぶか⁇」と宮内さんに言われたから、「大丈夫です。俺が送って行きます。」と一言答えた。

 「そっか…じゃあ宜しく。」

 二人に感謝して俺は2人の背中を見送った。
< 113 / 185 >

この作品をシェア

pagetop