真夏の一夜は恋の始まり(新装版)
 「あの…私には今付き合ってる人がいて、良樹先生は同僚で、今までそんな風に思った事は一度もなく、結婚と言われても、全く繋がらず…⁇」

 だからごめんなさい。と断ろうとしたら、「待ってください⁉︎」と話を遮られてしまった

 「それは知ってます。花凛先生には付き合ってる人がいることも、僕のことを何とも思ってないことも、絶対に断られることも…。」

 はぁ⁇じゃあどうして…⁇と私は言葉に出して言ってしまった

 「でも、付き合ってる人がいてもまだ結婚してるわけじゃないし、僕のことも少しは意識してほしいし、それに、小鳥っ子保育園を一緒にやっていけるのは、花凛先生しかいないと常々思ってるので。」

 だから、僕のことも将来の選択肢の1人として考えてくださいと真面目に言われてしまった…。
 
 私は鳩が豆鉄砲を喰らったように驚いてしまった⁈

 別れ際、「僕は気が凄く長い方なので、結論は急ぎません。よく考えてみてください。花凛先生を困らせたいわけじゃありません。勿論これからも同僚として普通に宜しくお願いします」と言われ、いい人の模範解答のような言葉を言い残して良樹先生は去って行った…。

 良樹先生が帰った後、私は帰り道を1人歩いた…あっ。そう言えばさっき携帯が鳴ってたな。
 私はさっきから無視してしまっていた携帯電話に目を通した。大一から何件か着信が入っていて、『まだ仕事⁇』とLINEも入っていた。
 あっ、すぐ電話しなくちゃと思ったけど、すぐに電話をする気になれなかった。

 『ごめん。今仕事終わった。電話出られなくてごめん。』

 私は本当の事が言えず咄嗟に嘘をついてしまった…。

 やましい気持ちは本当にない。心が揺れてぐらついているわけでもない。

 でも…何となく、すぐに大一の声を聞きたくない夜だった…。
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