両思いだけど、片想い?
ピンク色に染まらない日常
高校2年生の春、るるの人生に最大にして最高の「奇跡」が起きた。
放課後の誰もいない教室。
夕日に照らされながら、クラスの男子――それも、るるが1年以上密かに想いを寄せていた俊太から、「好きだ。付き合ってほしい」と告白されたのだ。
心臓が口から飛び出るかと思うほどの衝撃だった。
もちろん返事はYES。
その日の帰り道、るるの目に映る世界は完全にピンク色に染まっていた。
(念願の恋人同士になれたんだ……! 毎日一緒に帰って、手を繋いで、それから……!)
少女漫画のような甘い日々を想像し、るるはベッドの上で何度も身悶えした。
しかし、現実はそう甘くはなかった。
奇跡の告白から、気づけば月日は流れ――なんと3年が経っていた。
二人は高校を卒業し、それぞれの道を歩み始めている。付き合いの長さだけで言えば、立派な「熟年カップル」の域だ。
それなのに。
「じゃあ、るる。また明日な」
「うん、また明日……」
駅の改札前。俊太はるるとの距離をきっちり「拳3個分」空けたまま、爽やかに手を振って去っていく。
その後ろ姿を見送りながら、るるは深いため息をついた。
(……今日も、何もなかった)
付き合って3年。普通なら、手を繋ぐなんて息をするようにできるはずだ。
キスだって、そのもっと先だって、とっくに経験していてもおかしくない時間。
それなのに、俊太は一向に何もしてこない。
学校の帰り道も、今のデートの帰り道も、すぐ隣を歩いているのに手すら繋ごうとしない。
偶然、肩や手が触れそうになると、俊太はまるで電流が走ったかのように「あ、ごめん!」と露骨に距離を取るのだ。
「付き合えたのは、私の幻覚だったのかな……」
贅沢な悩みだと自分を笑ってみるものの、胸の奥に溜まった寂しさは消えない。
告白してくれたのは俊太の方なのに。両思いのはずなのに。
まるで、自分だけがずっと片想いをしているような、冷たい五月雨に打たれているような感覚だった。
完璧すぎる「お利口さん」
俊太は優しくて、かっこよくて、るるのことをいつも気遣ってくれる。
デートの場所はるるの行きたいところを優先してくれるし、記念日には必ず可愛いプレゼントをくれる。
だけど、決定的な「熱」が足りない。
少女漫画で見るような、情熱的に抱きしめられたり、不意打ちでキスされたりする展開なんて、夢のまた夢。
「俊太は本当は、私のこと、女の子として好きじゃないのかも……」
るるの心は、付き合った当初の淡い喜びをすり減らしながら、底なしの不安へと沈んでいくのだった。
放課後の誰もいない教室。
夕日に照らされながら、クラスの男子――それも、るるが1年以上密かに想いを寄せていた俊太から、「好きだ。付き合ってほしい」と告白されたのだ。
心臓が口から飛び出るかと思うほどの衝撃だった。
もちろん返事はYES。
その日の帰り道、るるの目に映る世界は完全にピンク色に染まっていた。
(念願の恋人同士になれたんだ……! 毎日一緒に帰って、手を繋いで、それから……!)
少女漫画のような甘い日々を想像し、るるはベッドの上で何度も身悶えした。
しかし、現実はそう甘くはなかった。
奇跡の告白から、気づけば月日は流れ――なんと3年が経っていた。
二人は高校を卒業し、それぞれの道を歩み始めている。付き合いの長さだけで言えば、立派な「熟年カップル」の域だ。
それなのに。
「じゃあ、るる。また明日な」
「うん、また明日……」
駅の改札前。俊太はるるとの距離をきっちり「拳3個分」空けたまま、爽やかに手を振って去っていく。
その後ろ姿を見送りながら、るるは深いため息をついた。
(……今日も、何もなかった)
付き合って3年。普通なら、手を繋ぐなんて息をするようにできるはずだ。
キスだって、そのもっと先だって、とっくに経験していてもおかしくない時間。
それなのに、俊太は一向に何もしてこない。
学校の帰り道も、今のデートの帰り道も、すぐ隣を歩いているのに手すら繋ごうとしない。
偶然、肩や手が触れそうになると、俊太はまるで電流が走ったかのように「あ、ごめん!」と露骨に距離を取るのだ。
「付き合えたのは、私の幻覚だったのかな……」
贅沢な悩みだと自分を笑ってみるものの、胸の奥に溜まった寂しさは消えない。
告白してくれたのは俊太の方なのに。両思いのはずなのに。
まるで、自分だけがずっと片想いをしているような、冷たい五月雨に打たれているような感覚だった。
完璧すぎる「お利口さん」
俊太は優しくて、かっこよくて、るるのことをいつも気遣ってくれる。
デートの場所はるるの行きたいところを優先してくれるし、記念日には必ず可愛いプレゼントをくれる。
だけど、決定的な「熱」が足りない。
少女漫画で見るような、情熱的に抱きしめられたり、不意打ちでキスされたりする展開なんて、夢のまた夢。
「俊太は本当は、私のこと、女の子として好きじゃないのかも……」
るるの心は、付き合った当初の淡い喜びをすり減らしながら、底なしの不安へと沈んでいくのだった。