おぼれる

暗闇に爪を立てる

 リリーと名付けた蜘蛛の、丸まった姿を見つけた。

 持ち去られた夢は、とんでもなく大きかったようにも、取るに足らぬほどに小さかったような気もする。
 舐めあった傷はマカロンのように甘ったるく、窓辺に翳した絆創膏は、心もとない。
 計量スプーンに山盛りのビーズを喉に流し込めば、じきに震えは止まるでしょう。

 絶望なんてない。
 理由なんてない。
 それでもふらりとやってくる衝動を、どうやり過ごせばいいのか。 

 頬を寄せ合う紫陽花に色はない。
 愛おしい後頭部に思いを馳せながら陰鬱なペトリコールと夜更かし。
 暗闇に爪を立て、ただひたすら呼吸を数えている。

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