さくらの約束
あとがき


ここまで『さくらの約束』を読んでくださり、本当にありがとうございました。

この物語は、「言葉がなくても伝わる想い」と「時間を越えて続く約束」をテーマに書きました。
桜という花は、日本では特別な意味を持っています。満開の美しさだけでなく、散り際の儚さにも心を打たれる――その二つの感情を、海と妃という二人の時間に重ねています。

声を失っていた妃と、まっすぐに想いを向け続けた海。
二人の関係は、派手な出来事よりも「小さな約束」と「静かな想い」で結ばれています。ノート越しの会話、桜並木の夕暮れ、そして数年後の再会。どれも大きな奇跡ではないけれど、だからこそ現実のどこかにもありそうな、そんな物語にしたいと思いました。

タイトルの『さくらの約束』は、妃が残した言葉だけでなく、海が心の中で守り続けた約束でもあります。
桜が散っても、また咲くように。
離れても、想いは巡ってもう一度出会える――そんな希望を、この物語に込めました。

もしこの作品を読んで、誰かを思い出したり、昔の約束を少しだけ思い出してもらえたなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。

満開の桜の下で再会した二人の物語はここで終わりますが、きっとこの先も、穏やかな春のような時間を重ねていくことでしょう。

あなたの春にも、優しい物語がありますように。

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

詩月麗
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