学校の人気者は私だけを離してくれない【大学生編】
打ち合わせが終わると、健吾が冬人を呼び止めた。
「少し話せるか。」
近くの応接室へ移動する。
健吾はコーヒーを一口飲み、静かに話し始めた。
「君のお父さんとは昔から仕事で付き合いがある。」
「そうだったんですか。」
「ああ。経営が苦しくなったと聞いて放っておけなかった。」
冬人は頭を下げる。
「ありがとうございます。」
しかし健吾は首を横に振った。
「違う。」
「え?」
「助けた理由は、それだけじゃない。」
健吾は優しく笑う。
「紗羅が君の話をするとき、本当に幸せそうなんだ。」
冬人は驚いて顔を上げた。
「父親として、その笑顔を守ってくれる相手を見捨てることはできない。」
その言葉に冬人の目が潤む。
その夜。
冬人は紗羅を思い出の高校へ呼び出した。
校舎裏。
高校一年生の春。
紗羅が初めて告白した場所。
「懐かしいね。」
紗羅が笑う。
「ここで人生変わった。」
冬人も微笑んだ。
「俺も。」
少し沈黙が流れる。
冬人はポケットから小さな箱を取り出した。
「紗羅。」
「うん。」
「俺、まだ何も恩返しできてない。」
「そんなことないよ。」
「ある。」
冬人は片膝をつく。
「高校生の時、『いつか結婚しよう』って約束した。」
「……うん。」
「今なら胸を張って言える。」
冬人は箱を開けた。
中にはシンプルなダイヤの指輪。
「神宮寺紗羅。」
「俺と結婚してください。」
紗羅は涙が止まらなかった。
何度もうなずきながら答える。
「はい。」
「よろしくお願いします。」
冬人は優しく指輪をはめる。
そして二人は抱きしめ合った。
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