BLUE YELL ―その声が届くまで―
最後の着地
朝七時。
目覚ましは鳴らない。
もう、その時間に起きる必要がないからだ。
カーテンの隙間から差し込む朝日が、静かな部屋をゆっくりと照らしていく。
私はベッドの上で小さく息を吐いた。
天井を見つめる朝が、いつから当たり前になったんだろう。
体を起こし、床に足をつく。
窓を開けると、春の少し冷たい風が頬を撫でた。
部屋の隅には、きれいに揃えられたチアシューズ。
洗濯して畳まれたユニフォーム。
オレンジとゴールドのポンポン。
どれも、もう何か月も触れていない。
それでも捨てられずにいる。
私はその前にしゃがみ込み、ポンポンへそっと手を伸ばした。
指先に触れた細いフィルムが、かすかに音を立てる。
カサッ、と小さく響いたその音だけが、静かな部屋に残った。
――まだ、忘れられない。
誰よりも高く跳びたかった。
誰よりもきれいに笑いたかった。
誰よりも、あの場所で踊り続けたかった。
怪我は、もう治っている。
普通に歩ける。
走ることもできる。
だけど。
『競技チアへの復帰は、おすすめできません。』
医師のその一言で、すべてが終わった。
跳べないわけじゃない。
ただ、もう以前と同じレベルでは跳べない。
コンマ一秒のズレが、大きな事故につながる世界。
誰かを支える責任を負うには、もう十分じゃなかった。
だから会社を辞めた。
居場所がなくなったわけじゃない。
誰かに辞めろと言われたわけでもない。
ただ、自分だけが前に進めなくなった。
目覚ましは鳴らない。
もう、その時間に起きる必要がないからだ。
カーテンの隙間から差し込む朝日が、静かな部屋をゆっくりと照らしていく。
私はベッドの上で小さく息を吐いた。
天井を見つめる朝が、いつから当たり前になったんだろう。
体を起こし、床に足をつく。
窓を開けると、春の少し冷たい風が頬を撫でた。
部屋の隅には、きれいに揃えられたチアシューズ。
洗濯して畳まれたユニフォーム。
オレンジとゴールドのポンポン。
どれも、もう何か月も触れていない。
それでも捨てられずにいる。
私はその前にしゃがみ込み、ポンポンへそっと手を伸ばした。
指先に触れた細いフィルムが、かすかに音を立てる。
カサッ、と小さく響いたその音だけが、静かな部屋に残った。
――まだ、忘れられない。
誰よりも高く跳びたかった。
誰よりもきれいに笑いたかった。
誰よりも、あの場所で踊り続けたかった。
怪我は、もう治っている。
普通に歩ける。
走ることもできる。
だけど。
『競技チアへの復帰は、おすすめできません。』
医師のその一言で、すべてが終わった。
跳べないわけじゃない。
ただ、もう以前と同じレベルでは跳べない。
コンマ一秒のズレが、大きな事故につながる世界。
誰かを支える責任を負うには、もう十分じゃなかった。
だから会社を辞めた。
居場所がなくなったわけじゃない。
誰かに辞めろと言われたわけでもない。
ただ、自分だけが前に進めなくなった。
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