失恋した男友達と、ルームシェア始めました
「ちゃんとやり直したいからさ。せめて、『ルームシェア相手』じゃなくて、『彼氏』名乗れるようになってから、その先、触らせろよ」


囁くみたいな声が、耳のすぐそばで落ちてくる。

心臓の音が、彼に聞こえてしまいそうで、思わず胸のあたりを押さえた。


「……そんなの、聞いてない」

「今、言った」


ずるい、と思う。

ずるいけど、嫌じゃない。

むしろ、どうしようもなく、うれしかった。

ベッドの縁とソファの境目。

その真ん中あたりで、私たちはしばらく、額を寄せ合ったまま、動けずにいた。


──失恋のとなりで始まったルームシェアは、ソファの端っこから、ベッドの真ん中へ、もう少しで踏み出しそうなところで、ぎりぎり踏みとどまっている。

まだ、「彼氏」とは呼べない場所で。


──


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