ただいまヒロイン代理中!
「美月は、『主人公』この小説の核みたいな存在なんだ。あいつは語り手でもあったから、すべての感情や記憶、意志を毎回一人でフルに背負わされていた」

「えっ……!」

「人一倍負担が多い中、終わらないストーリーを延々と繰り返すたびに、心がすり減ってしまったんだろうな。……あるとき、あいつはこの小説から姿を消した」

「そんな……」

「美月という核を失ったことで、この世界のストーリーも同時に消えた。美月に一番近い立場で、唯一この小説の登場人物だと自覚を持っていた俺だけが、異物として取り残されたんだ」

「じゃあ、蓮は?」

「お前が見つけるまで、ずっと一人でこの真っ白な世界にいたよ」

 連は顔を上げると、眉尻を下げて、くしゃっと笑った。

 気が遠くなるほど同じ日々をループして、大切な人を失って、そのうえ何もない空間にたった一人で取り残されていたなんて……。

 蓮は気丈に振る舞っているみたいだけど――きっと、本当はものすごく心細かったはずだ。

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