手フェチ女とピアニスト

「由麻の唇が好みで、目が行ったんだよ。俺は唇フェチだから」
「唇フェチ!?」

目を丸くして驚く由麻を見て、涼は笑顔で頷く。

「フェチってそんないけないことか? 俺が由麻に興味を持ったきっかけは唇だけど、ピアノに興味ないのに頑張って調べてる由麻を見て、健気でかわいいなあって思ったし」
「なっ!?」

(涼さんは全部お見通しだったの!? かわいいって言った!?)

 混乱で言葉を紡げないでいる由麻をよそに、涼は話を続けた。

「それに、由麻が手フェチだったお陰で助かった。俺に嫌われることよりも、俺を助けることを優先したとこも好きだよ」

 涼は目を細めて由麻を見つめながら、彼女の頬を撫でる。

「好き……? 涼さんが、私を?」
「結構アプローチしてるつもりだったけど」
「海外暮らしが長かったからフランクなのかなって……」

 由麻の言葉を聞いた涼は溜め息をついた。

「俺が触れたいのは由麻だけだよ」

 涼の長い人差し指が由麻の唇に触れた。
 指先はすっと下がって由麻の顎を少し上げる。

「私の唇……タラコっぽくてあんまり好きじゃないけれど……」
「俺は好き」

 由麻が言い終わる前に食い気味に主張する涼。

 涼の顔が近づく。
 由麻は静かに目を閉じる。
 それは無言のOK。

 涼の唇が由麻の唇に重なった。

「……唇フェチの涼さんのお眼鏡にかなった?」

 由麻が見上げると、涼は蠱惑的な笑みを浮かべる。

「最高」

 そう言って大きな両手で由麻の頬を包み、由麻のぽってりとした唇にまたキスをした。
< 16 / 16 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop