手フェチ女とピアニスト
「由麻の唇が好みで、目が行ったんだよ。俺は唇フェチだから」
「唇フェチ!?」
目を丸くして驚く由麻を見て、涼は笑顔で頷く。
「フェチってそんないけないことか? 俺が由麻に興味を持ったきっかけは唇だけど、ピアノに興味ないのに頑張って調べてる由麻を見て、健気でかわいいなあって思ったし」
「なっ!?」
(涼さんは全部お見通しだったの!? かわいいって言った!?)
混乱で言葉を紡げないでいる由麻をよそに、涼は話を続けた。
「それに、由麻が手フェチだったお陰で助かった。俺に嫌われることよりも、俺を助けることを優先したとこも好きだよ」
涼は目を細めて由麻を見つめながら、彼女の頬を撫でる。
「好き……? 涼さんが、私を?」
「結構アプローチしてるつもりだったけど」
「海外暮らしが長かったからフランクなのかなって……」
由麻の言葉を聞いた涼は溜め息をついた。
「俺が触れたいのは由麻だけだよ」
涼の長い人差し指が由麻の唇に触れた。
指先はすっと下がって由麻の顎を少し上げる。
「私の唇……タラコっぽくてあんまり好きじゃないけれど……」
「俺は好き」
由麻が言い終わる前に食い気味に主張する涼。
涼の顔が近づく。
由麻は静かに目を閉じる。
それは無言のOK。
涼の唇が由麻の唇に重なった。
「……唇フェチの涼さんのお眼鏡にかなった?」
由麻が見上げると、涼は蠱惑的な笑みを浮かべる。
「最高」
そう言って大きな両手で由麻の頬を包み、由麻のぽってりとした唇にまたキスをした。


