おかえりが聞こえる病室
先生が病室を出ると、莉奈は何も言わずに隣へ座った。

励まさない。

急かさない。

ただ一緒にいる。

「莉奈さん。」

「なぁに。」

「……。」

「にげたい。」

莉奈は思わず笑ってしまった。

「どこへ?」

「おうち。」

「それは先生に見つかっちゃうなぁ。」

亜美も少しだけ笑う。

「じゃあ……。」

「ベッドごと。」

「それも目立っちゃう。」

二人とも少し笑った。

その笑顔は長く続かなかったけれど、

泣くだけだった数分前より、少しだけ呼吸が楽になっていた。
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