Ironic Honey
「それか、働きたいってなったら起業でもしてみる?」

「え?」

「営業の仕事も辞めたくないんだろ? でも、自分で時期が来た時に起業をすれば、好きなようにも働けるし、俺はサポートもできる。投資という形で支援してもいいし」

「ちょ、ちょっと! サポートの規模が…!」


 急な大きな話に慌てていると、千織は少し笑って、私の頭を撫でていた。

 起業なんて、そんなこと少しも考えていなかった。確かに今の時代で女性起業家は少なくない。無料で動画配信サービスをしているようなところで、起業リアリティーショーというコンテンツも存在し、そこに女性が挑戦することが当たり前になりつつあるくらい。

 実際、世間的にも女性起業家を応援しようという流れも少しずつできてきている。

 でも、子育てが落ち着いたら、っていつになるか。


「数年後には羽聖は保育園か幼稚園には入って、その間に少しずつ準備してみたり、俺も協力するから考えてみてもいいんじゃないか?」

「…大きな話過ぎて頭が追い付かないけど、あなたの提案も片隅においておく。仕事は一度退職して、考えてみるね」


 私の発言に少し微笑み「わかった」と言って、ようやく離れた。

 千織は私のことを甘やかしすぎである。
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