じゃあね

次の日、昼休み1人でどこか行こうとする未津をなんとか捕まえる。


「一緒にお昼ご飯食べようねー?」


軽く手首を掴んだだけだったから、するっと抜けていった。

今度は後ろから抱き締めた。

教室だからって俺は容赦しない。


「未津のこと食べちゃうよ?」


身を捩らせてきた。


「嫌なら一緒にお昼ご飯食べること。いい?」


彼女は頷いた。

嫌ってのもなんか複雑だけど。


付き合ってから1ヶ月経つまで。

未津が保健室に行くようになったり、早退したりすることが増えた。

訳を聞いても教えてくれない。

俺ってそんなに頼りないのかな。

帰り道、駅に着いて。


「最近どうしたの?具合悪いの?」


俺はただそう聞いただけだった。

でも返ってきたのは、思っていた以上のものだった。

背伸びして、唇の端にキスしてきた。

まだ一度もキスしたことないのに。

それから未津は、不器用な笑顔で


「じゃあね」


と言って帰ってしまった。

違和感を感じてしまった。

笑顔なんて俺に、見せてくれたことあったっけ?

追いかけるべきだった。


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