私が魔女なんて濡れ衣だけど濡れ衣じゃありませんわ!さようなら馬鹿王太子!
「お前のような魔女は婚約破棄だ!私の妻に相応しいのはこのエリザベス公爵令嬢で、お前のような魔女である、ジャンヌでは無い!」


 突然こんな宣言をされたのは、私の婚約者であるこの国の王太子様……



「そしてお前は魔女であり当然そんな存在許されない!よって罪に問うて処刑するものとする!」



 は?いくら何でも無茶苦茶過ぎませんか?


 私は流石に反論する。



「その証拠はどこにあるのでしょうか?仮にも私も公爵令嬢、証拠も無しにそのようなことは王家の信に関わりますわよ!」




「わっはっはっはっは証拠などある!お前のその雰囲気怪しいからだ!よって連れていけ!」



 冗談でしょ?それどこが証拠なの?と思って唖然としていたら、私は縛られて本当にギロチンの処刑台まで連れていかれるでは無いか!



 ……いくら何でもこんな不条理通るわけが無い……


 そう思っていると、王太子様が多くの民衆や貴族を集めて宣言する!




「このジャンル公爵令嬢は実は魔女だったのだ!私がそれを見抜きここに処刑する!皆は安心するが良い!」



 それに対してもちろん多くの貴族や民衆はあっけに取られており、私が魔女なんて唐突を超えていますからね。


 荒唐無稽過ぎてついていけない感じである。


 しかしだ、流石王太子様!名裁判!などと一部からヤジが飛ぶ……



 なるほど、きっとあれは王太子様が用意したサクラであり、それで押し切ろうということですか……



 しかし私はまだどこかこの現実感が無い出来事に、きっと正気になったものによって止められると思っていた。



 しかし本当にギロチンが振り落とされそうになったのである!



 ……仕方ない!




 処刑されたのはエリザベス公爵令嬢だった!



 王太子様はそれに気づき悲鳴を上げた!



「エリザベス!エリザベス!どうして!」




 私は魔法を使ってエリザベスと入れ替わっていたのだ。


 哀れ私の代わりに処刑された……と言いたいがあの女、私を見下すようにニヤニヤ眺めていたので共犯である、よって慈悲は無い。



 そして私が王太子様に声をかける。





「魔女と分かっていたのなら、入れ替わるくらい予測できなかったのですか?」




「何だと!貴様よくもよくもエリザベスを!」



 などと怒っているが私は、



「王太子様、私は死にたくありませんわ、それではごきげんよう!」




 こうして私は空を飛んであっという間に消え去ったのであった。





 ……私は人生を振り返る、私が魔女なんてのは分かるわけないのだから、偶然の濡れ衣だったなと思いながら。



 私は人里離れた所で暮らす魔女だった。しかし人間の書物などを読み、面白そうだと好奇心にそそられていた。


 特に貴族令嬢になってみたいと思っていた。


 すると偶然ジャンヌ公爵令嬢が乗った馬車が崖から落ちてしまったのだ。


 当然残念ながら中に乗っていたものは全員即死である。



 そこに降り立った私はジャンヌの体に乗り移ることで、ジャンヌ公爵令嬢になったのである。


 まもなく捜索の者達が来て、私の生存を奇跡だと称えた。


 実際の中身は違うのだが、ジャンヌの記憶も私のものとなったため、ギリギリなんとかなったのだ。


 以前と違う雰囲気に当然なったはずだが、事故のショックで変わったということで周りが解釈したらしい。



 こうして私はジャンヌ公爵令嬢となり、政略結婚で王太子様と婚約したのだが、あんなことになったのだ!



 私はジャンヌ公爵令嬢に乗り移ってから一度も魔法を使ったことが無い。


 何故なら貴族令嬢として生きて見たいと思っていたからと、元のジャンヌが魔女でも何でも無い以上体を乗り移らせてもらった以上という2つの理由から。



 だから私が魔女なんて断罪は完全な偶然に違いない、まさに嘘から出た真というやつだ……



 馬鹿王太子があんなことをするとは思わなかった。だって陛下はあんなのとは違う賢明な方のはずなのだから……





 なのであの後どうなったのか気になり、隠れ身の術で隠れながら、陛下の玉座で様子見することとした。



 すると丁度陛下が外出から帰還したらしく、馬鹿王太子が呼ばれていた。





「お前は魔女を処刑しようとして失敗したようだな!もしも魔女が報復を企てたらどうするのだ!」




「父上聞いて下さい!まさかジャンヌが魔女だなんて思わなかったんです!」




「何だと!?貴様は証拠も無しに婚約者である令嬢を魔女だと濡れ衣を着せて処刑しようとしたのか!?」




「だってエリザベスと結婚したかったので!あいつに報復して下さいよ、エリザベスの仇です!」



「戯けが!結論から言う、お前の王太子は廃嫡するものとする!」




「そんな!」




「……お前は亡き妻である王妃の唯一の息子だったからずっと甘やかしてきたが、王太子の資格などお前に無い、それにいざとなったら魔女が報復をするようならば、そんな得体のしれないものと戦うリスクを避けるために、お前を差し出して生贄にする!」




「な……」



「何故こうなのか馬鹿なお前に説明してやる!


 まず仮に本当にジャンヌが魔女だったとしたらもっと慎重に相対しないといけなかった!中途半端に攻撃をして失敗して怒らせるなど一番やってはいけないことだろう!和睦できればそれで良し、無理ならば、必ず倒すべくもっと徹底的にやるべきだったのをあのような始末!」





「だからそれは魔女だと知らなかったからで……」



「それがより論外なのだ、だとしたら罪なき者を魔女と捏造して殺そうとしただけではないか!偶然魔女だということが正しかっただけで、何1つ言い訳として成立しない!よってお前など本来ならば処刑されるレベルだ!だから魔女が攻めてきたら差し出すからな!」





 ……陛下の言ってることは一部シビアというか、私を討ち取る算段までしてて酷いなぁと思うけど、もっともだと思った。


 私を敵に回すにしてはお粗末過ぎ、さらに濡れ衣というもうどう考えても救いが無いことをしている馬鹿王太子だと思った。



 陛下が留守の間に勝手なことをしたのも論外だし、このまま一生監禁されててくださいな!




 そして私も後始末をしないといけないと思った……




 私は公爵家に帰り、お父様お母様ら家族のみんなに宣言をする……



「今までありがとうございました、私はあの事故の奇跡によって魔女として目覚めてしまったのです。そして正当防衛とは言え生きるために、エリザベス公爵令嬢を殺してしまった以上この家にいることはできません、今までありがとうございました。お体にお気をつけていつまでも長生きをして下さい……!」




 家族はあっけに取られてというか、涙を流してというか、一種のパニックになっているが当然だと思う。


 だからこそ、私がもうジャンヌじゃなく魔女に乗っ取られていることはわざわざ言うことが無いと思い、嘘をついたのだ。これでジャンヌまであの時死んでいましたではかわいそうですからね……




「そして陛下にお伝えください、私はこの国が嫌いとかはありませんし報復する気もありません、しかし国のためにあの無能王太子の復権だけはおやめくださいと、その時は私があの王太子を許しませんと!」





 こうして私は、何か言おうとする家族を振り切ってすぐに外へと飛んでいった!




 もうこの家にいられないし、騙していた以上、何か会話を交わすのは辛いだけですからね、お互いにね……!




 そして私は次はどうしようかなと、今回は政略結婚とは言え、相手が酷すぎた。



 今度は素敵な恋愛ってやつをやってみたいなと。


 とは言え魔女である私が、簡単に誰かに惚れるなんてことはありえない。


 だって惚れるってのは、弱いものほど生じやすいことであり、私はむしろ真逆だから。



 そう思うと陛下のシビアさとか少し素敵だなと思ったりしたのだが、流石に陛下は年を取り過ぎている。


 もっと若い素敵な方を探す、それが次の目標としていいかもと思った。




 ……この体をもう使うことはできない、あんなことが起きた後なのだから。



 ありがとうジャンヌ、そして魔法を使う気が無かったけど生きるためにそれも果たせずにごめんなさい、さようなら……



 こうして私は元の体へと戻り、次の人生を探すことになったのである!
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