名もなき空に、青い風が吹く

第二章:夏空と泡沫

 待ち合わせをしているセルフ式のカフェは、
商店街の中ほどにあった。わたしは初めて訪
れる街の見慣れない風景にどきどきしながら
レトロ感のある商店街を進み、スモールサイ
ズのアイスティーを注文してカフェの二階に
上がった。

 窓際の席が空いているのを見つけ、そそく
さと席に着く。首を伸ばして窓から眼下を見
下ろせば、大翔と同じ制服を着た男子生徒た
ちが自転車を引いて歩いている。

 もしかしてわたし、目立つかな。

 水色のポロシャツにチェックのプリーツス
カートという、この辺ではあまり見掛けない
制服を着ていることにちょっと気後れしてし
まう。どこの学校の子かな?と勘繰るような
視線をレジの人に向けられた気がしたけれど、
きっと気のせいだろう。

 そんなことを自分に言い聞かせつつプラス
チックのコップに注がれたアイスティーに、
ガムシロ二つとフレッシュを三つ入れてかき
混ぜる。甘ったるいそれを半分以上喉に流し
込み、窓の外をじっと眺めていると商店街の
入り口の方から大翔が走ってくるのが見えた。
窓際の席から見下ろしているわたしに気付き、
大翔がひらりと手を振ってくる。なんかこう
いうのって制服デートっぽいな、などと一瞬
浮かれたことを考えてしまったわたしは素知
らぬ顔をして手を振り返した。

 「ごめん、待った?」

 「うん、結構待った」

 アイスコーヒーが載ったトレイをテーブル
に置き、席に着いた大翔に正直に答える。出
来るだけ時間をかけて飲んだアイスティーは、
すっかり氷で薄まって上の方はほとんど水と
化している。大翔は肩を竦めるとコーヒーに
ストローを差し込んだ。

 「いま文化祭の準備で忙しいんだ。展示物
の制作に時間かかっててさ、写真部のみんな
とメディアセンターで集まってた」

 「そっか、文化祭あるんだ。いつ?」

 「再来週。芦香のところは?」

 「うちは十一月の中旬」

 「遅いな」

 「そうかな、普通じゃない?」

 「女子校だからか?」

 「それ関係ないでしょ」

 コーヒーを飲みながら的外れなことを言っ
て首を傾げている大翔に、突っ込む。
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