托恋 〜鳥ノ神は女中娘を翼に匿す〜

『真冬日』 畜生と⬛︎⬛︎


 ここで死ぬのか、ここで。

 一面に広がる雪原が、己の血潮で汚れてゆく。

 身体のどこも動かせず、自慢の声はもうしゃがれて出せない。

 少しずつ早まる呼吸に、いよいよ限界が近づいているのを感じた。


 嫌だ

 いやだ

 死にたくない!

 しにたくない——


 そこでフッと、視界が銀世界から藍色に変わった。

 身体が持ち上げられてようやく、己が布に包まれ、運ばれているのを理解する。

 なんとか身じろぎをして布から顔を出せば、知らない少女が息を荒くしながら走っていた。


「大丈夫」


 額に玉のようなを作るその表情は、真剣そのものだ。


「大丈夫だからね」


 少女の白い息を、わずかに吸い込む。


 どうしてか、ただそれだけで生きてゆける気がした。

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