笑顔の仮面は君の前だけ壊れる

残された鍵

第16章 残された鍵

写真をバッグへしまおうとした、その時だった。

「琴葉。」

聞き慣れた声に振り返る。

神崎主任だった。

「その写真……どこで手に入れた?」

「屋上に置いてあった封筒の中に。」

神崎主任の表情が変わる。

「誰にも見せるな。」

「でも、どうして……。」

主任は辺りを見回し、小さく息を吐いた。

「その写真を持っていた人は、みんな会社を去った。」

「え……?」

「佐伯も、その一人だ。」

私は言葉を失った。

「朝比奈は君を守ろうとしている。」

「主任も同じことを言うんですね。」

神崎主任は静かに頷いた。

「だが、守るだけでは終わらない。」

「どういう意味ですか?」

「黒幕は、まだ会社の中にいる。」

その瞬間、主任のスマートフォンが鳴った。

画面を見た主任の顔色が変わる。

「まずい……。」

主任は私の腕をつかんだ。

「今すぐここを離れるぞ。」

「えっ?」

次の瞬間。

屋上の扉が勢いよく開いた。

そこに立っていたのは――

朝比奈さんだった。

息を切らしながら私たちを見る。

そして神崎主任へ鋭い視線を向ける。

「神崎。」

その声は今まで聞いたことがないほど冷たかった。

「琴葉から離れろ。」

私は二人を見比べる。

味方だと思っていた二人が、互いを警戒している。

一体、誰を信じればいいの……?

その答えは、まだ誰にもわからなかった。
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